召喚Ⅱ

「とりあえず、アーチャー。」

私は気お取り直して、

「はい、何でしょう？ますたー。」

「貴女と貴女の宝具の名前を教えてちょうだい。」

と私は先ほどから先延ばしにされていたことを聞いてみた。

「私の名前は永琳。八意永琳といいます。
　それでこの娘の名前は鈴仙・優曇華院・イナバといいまして、私の弟子にあたります。」

なにか、弟子とか気になることを言われたけど・・・
永琳・・・永琳ねぇ・・・
そんな英霊いたかしら？
と一人でぶつぶつ呟いているとアーチャーの宝具が、

「ぁ、ぁの～」

「どうかしたのかしら？・・・えっと、鈴仙だったっけ？」

「はい。それでなんで私たちここにいるのでしょうか？先ほどまで博麗神社で宴会をしていたはずなのですが？」

と、きょろきょろと周りを見ながら

「それに、ここ寒いんですけど・・・」

そりゃぁ・・・その格好では寒いでしょうね・・・
バニーガールの衣装に、網タイツ・・・それにどこに売ってたかわからないがぴょこぴょこと本物みたいな耳を見ながら。

――――博麗神社？・・・巫女なのかしらこの宝具・・・？

「そうね、ここにいたら風邪ひいちゃうし2階に移動しましょうか。」

と、言い移動を開始した。

／

私は、自分のますたーと弟子の会話を聞きつつ状況の整理をしてみることにした。

まず、第一に周りがすごい惨状になっている以外は紅魔館みたいな洋風な館らし
い。

次に、自分の確認をしてみた。
知識の欠落は・・・ないわね。
しかし、新しい知識が植えつけられていることに気づいた。
―――聖杯戦争。どんなものでも願いが叶うねぇ。
　　　　そんなことを言われても願うことなんてないし、早く姫様のところに戻りたいものね。

そこまで考えたところでますたーが移動したのでついていくことにした。

そういえば・・・鈴仙が鏡に触った時にあの子は気絶したはず・・・
隙間の神隠しということもあり得るけど、あの人はあの時に冥界の姫と飲んでいたはず・・・。

それに私は・・・

「し、師匠～。ここはどこなのでしょうね？幻想郷よりも大気の魔力が少ないですし」

といってきた。

「昔とだいぶ様変わりしてしまったけど、きっと外の世界ね」

と私の予測を聞かせるのだった。

／

後ろで私のサーヴァントとその宝具が情報整理の為か話始めたのをしり目に一つの部屋に入って行った。
無論、私の部屋だ。

「それで、さっきからどうしても思い出せないから質問したいのだけど。」

と永琳のほうを見て、

「貴女はどこのサーヴァントなのかしら？
弟子が宝具になるよう象徴の奴なんて思い出せないんだけど、
それに看護婦が英雄になるなんて聞いたこともないし、
そもそも、八意永琳なんて英雄聞いたこともないわ。
あと、これで最後、貴女の宝具が『博麗神社で宴会をしてた』と言ってたけど、それは貴女が私に呼び出されるまで生きていた。ということでいいのかしら？」

という事を言ったら、

「そうね、それについても話さなくちゃいけないわね。
まず、第一に、私はさーヴぁんとであっ手さーヴぁんとでない者です。」

「――サーヴァントであって・・・サーヴァントでない？」

「はい、私共はますたーが呼び出した際に、

鈴仙が倒れた。

と聞き軽く触診をしていた以降の記憶がないので、ここからは憶測ですが、私も銀の鏡にさわってしまいこちら側に呼び出されてしまったのかと。」

「つまり・・・貴女は英霊でないと？」

「はい。昔月に連れ去られそうになる姫を守るということをしたことがそれ以外は特にありませんし」

「姫ねー。いったいどんな姫がこんな人に守られるのかしら？」

なんて何気なく言ったら

「輝夜姫です。」

なんて、言ってくれやがりました。

「もっとも、それが英雄行為なのか？と言われたら答えはＮＯです。月からの使者として来ていながら、ほかの使者を殺したわけですから。」

「・・・」

「暗い話はこのくらいにして。
英霊でない証明でしたね、霊体になることができない。
といった方が簡単でしたね」

「えっ！！」

「これは私の特性のせいでもあるのですが、英霊というのは死んでからなるものでよろしかったですよね？」

「ええ」

「私は昔ある薬を飲んで不老不死になっているのです。
なので、未来永劫、消滅されることはあるかも知れませんが死ぬことはありません。」

「―――っ！！！」

「次に『博麗神社で宴会をしていた。』の件ですね。
ますたーは幻想郷という場所はご存知ですか？」

こくりっ

―――幻想郷・・・こちらの世界から忘れられてしまったものが最終的に行きつく場所であり、強固な結界に守られ、こちらの世界との交流をなくした場所のわからない聖地。

「その場所に博麗神社という神社で月に数回。
人間、妖怪、神を集めて宴会をしていまして、その際にこの子が倒れたと聞いて診察して・・・」

「気づいた時にはこの世界にいたと・・・
わかった、その言葉信じるわ。」

「ますたーが話の分かる人で本当によかったですね。」

となぜか、鈴仙は感涙し、

「そうね、わがままは少なそうね。」

と永琳は同意するのだった。

―――かぐや姫ってどんなのよ。

／

私は状況確認をするためにすっかり重要なことを忘れていたので聞いてみることにした。

「ますたー。重要なことを忘れていましたわ。」

「何？」

「私たちはまだますたーの名前を聞いていませんでしたわ。」

―――そう、まだ名前を聞いていなかったのだ。

「私の名前は・・・」