召喚Ⅲ

―――ますたー、こと遠坂凛は自分の名前を言い終わると私たちに向かって下の部屋の修理を命令して眠りについてしまった。

私たちは少し困ったように顔を見つめあい・・・

肩を落とし修理を始めたのだった。

修理中に、鈴仙の服が水着やジャージに変化するといったアクシデント？があったがその後は快調に修理が終わり。

私は早々にソファーで寝ることにしたのだが

「ちょっと近くを散歩してきます。」

と、私のどｒ、弟子がいうものだから行かした。

服装はいつものブレザーだった。

／

師匠から外出の許可をもらい、
月や幻想郷以外の場所。

『外の世界』

自分の知らない世界。
幻想郷とは隔絶してしまった世界。

その世界へと一歩を踏み出して・・・

今に至っているのだが、さすがに朝早くなので走っている人がいる以外はいない。

もっとも、朝食の準備だろう。

香ばしい匂いが所々からするのを見るとそろそろ屋敷に戻った方がいいのだが・・・

ある一か所、永遠亭や白玉楼よりは流石に小さいのだが十分に屋敷と言える場所から漂ってくる匂いにつられて戻ることができないでいた。

とうとう誘惑に負けて
”ちょっとだけなら・・・”
と思い、門の中に入ってしまった。

「人の気配はないみたいね・・・」

中に入っても、慎重に屋敷を散策。
少人数なら”能力”を使ってしまえば逃げ出すことも可能なのだが、
マスターの屋敷を掃除しているときに師匠から

「鈴仙、むやみに人前で貴女の”能力”を使うの禁止ね」
「むやみやたら使う気はないですが、どうしてでしょうか？」
「考えてもみなさい。相手が酔っ払ってもいないのに方向感覚を失ったらおかしいでしょうが・・・
それ以外にも貴女が本気で”逃げたら”どこぞの魔女や天狗とまではいかないけど、速すぎて車とかいう乗物に追いつくぐらいだせちゃうでしょ。
なので、貴女の能力は”戦闘”行為や私の指示があるまで禁止ね。

もし、破った場合は・・・お・し・お・きだからね♪」

ヒィィィ
いやなことを思い出して頭を横に振っていた・・・が

「アンタ、なにしているんだ？」

ここからは中を窺う前だったのだが、中からは私の姿が丸見えだったらしく、中にいたらしい男の人が私に気づいてそうたずねてきたのだが・・・
私はというと・・・

「あっ、え、えっと、そのぅ～」

素直に匂いにつられてと言えばいいのかという思いと人に見つかってしまったという思いで頭の中がごちゃごちゃになってしまっていて。
さらに、

ぐぅ～

昨日の夜に召喚されてから何も食べていなかったためにお腹がなってしまいさらに慌ててしまった。

そんな、私を見て彼が、

「そんなに腹空かせているのなら食べていくか？」

と言われたものだから

つい、

「いただきます！」

なんて、私らしくもないことを言ってしまった。

あ―――師匠たちのご飯作ってないが大丈夫だろうか―――

／

「ん――――――もう、朝・・・？」

昨晩に召喚をした性だろうか、ものすごくだるい。

「魔力は―――まだ回復には程遠いいわね・・・」

「ますたー、やっとお目覚めになりましたか。」

「アーチャー―――今・・・何時かしら？」

「もうすでに、１０時になっています。」

―――１０時ということは学校は始まっているわね・・・
　　　　学校は・・・この体調じゃ無理ね。

「学校はサボるとして――」

ベッドから体を起こして、

「今日は貴女達に町を案内しようかしら。」

ふぅ、と大きく深呼吸した。

「それなら、うちの鈴仙を町の散策に出しまして、すでにあの子も帰宅して町並み等々も把握していますので大丈夫です。」

「―――つまり、案内は不要と―――なら、今日はゆっくりしようかしら。」

「そうしてください。」

では、遅めの朝食の準備をしてきます。と言いアーチャーが部屋を出て行った。

私はベッドからもそもそと出て身だしなみを整え居間に降りた。

／

ますたーには朝食の準備をするといったのだが本当は鈴仙が帰ってきてからやけに料理に精を出して、
時々「トラ怖い。トラ怖い。」となぜかおびえていたけれどなにがあったのかしら・・・？

まぁ、それはともかく
鈴仙が言っていた”おかしなもの”をますたーの朝食が終わった後で話さなくちゃいけないわね。